住まい創りの話し 2
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屋根の話し
間取りを考えつつ、外観も計画していくわけですが、まず屋根の話しを・・・。
屋根の形状ですが、切妻、寄棟、陸屋根(フラット屋根)の三つが基本の形状です。
ざっくりしたイメージですと、切妻は洋風、寄棟は和風、陸屋根はモダンな感じになります。
どんな形状であろうと屋根はシンプルにしましょう。デザイン的に格好良くするためにあえて複雑に計画することにメリットはありません。
複雑にしない方が雨漏れ等の不具合が出にくい、長持ちする屋根にできます。屋根に谷等ができるとどうしてもそこに雨水は集中していくため雨漏れの心配は出てきます。トップライトも極力避けたほうがいいでしょう。
プラン上どうしても谷ができてしまったり、採光を取るためにトップライトを付けることは有り、その際には充分な措置はもちろん実施します。
相対的に見て、雨漏れ等の危険度に差があるということです。
そのために、大きな屋根のかかる最上階はすっきりした形にまとめることが必要です。
屋根葺材ですが、この三河地域は三州瓦の地元でもありますので、瓦を使用することが多いですね。
耐久性の面から見ても、屋根材として最も優れているのは瓦でしょう。色あせなどもすることもなく、メンテナンス面でも、割れてしまったらその瓦を取り替えることもできます。
瓦にも三州瓦でよく知られている粘土瓦やセメント瓦、金属瓦があり、デザインも古来の和瓦、曲線が綺麗な洋瓦、モダンな家にも似合う平板瓦等々・・・
瓦屋根が魅せる風合い、表情は独特です。
あと、こちらからの一つの提案として鋼板葺きをお勧めすることもあります。
鋼板葺きと言うとどうしてもトタン葺きのイメージがあり、安っぽい家になるのでは?と思われる方もいらっしゃいます。
鋼板葺きのメリットとして、屋根を軽くできることがあげられます。屋根が軽いと何が良いのでしょうか?
それは構造的に屋根が軽いと有利になるからです。頭が重いと建物は大きく揺れることになり、その揺れに抵抗するため耐力壁がより多く必要になります。その耐力壁を堅結するためにより強い接合金物がより多く必要になります。小さなことかもしれませんがコスト的に鋼板葺きの方が安価にできます。
次に気にされることとして耐久性についてです。
最近の建築に使用される鋼板はトタンではなく、ガルバリウム鋼板と呼ばれるアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板で防食性に大変優れています。
めっき皮膜の寿命ですが大旨、メーカー保証で10年、または塗膜の塗装方法により(フッ素塗装等)20年となっています。ただし、施工の際に切断面等がどうしても出る部分があり、そこから赤錆が発生するおそれがあるため施工には充分な配慮が必要です。
外壁の話し
外壁は外から見て一番目に付く部分ですね。建物の印象を決定付けるところです。
外壁材として、化粧サイディング、塗り壁、タイル貼り、ガルバリウム鋼板貼り・・・などがあります。
素材によって一長一短はあります。
化粧サイディングは商品のランクにもよりますがコスト的に優れており、一般的によく使われています。大手住宅メーカーの外壁も化粧サイディングです。
一昔前の化粧サイディングはあまり目を引くデザインのものがありませんでしたが、最近は基材自体の厚みもあり堀の深い、表情のあるものが増えてきています。また、光触媒やフッ素コートなど汚れの付きにくい、掃除のしやすいものも出てきています。
つぎに、サイディング施工で気にされるのがジョイント部分ですが、壁一面を一枚のサイディングで貼ることはできないのでどうしてもジョイント部分が出ていまいます。ジョイント部分にコーキング(ゴム状のシール材)で処理をするためその部分のみ、他の基材部分と比較すると変色したり、切れ、変質することがありますが、最近はコーキングをしなくても納められる商品もありますので、そういった材料を使用することも検討されてみてはどうでしょうか。ただし、機能的に優れた物ほどコストがかかりますが・・・。
外壁を塗り壁にすることもよくあります。
壁一面を継ぎ目無く一体的な仕上がりは魅力的ですね。
塗り壁には左官屋さんが塗る土系のものと塗料系のものとがあります。
塗り壁だと後々発生するクラック(ひび割れ)を気にされると思います。実際のところ、クラックは入るものと理解していただいたほうが良いと思います。
建物は風を受けたり、近くを大型車両が通過の際など、住んでいる方には感じない程度のものも含め常に揺れています。
窓などの開口部の部分や、下地のジョイント部分の処置が不十分だとその部分からクラックが発生していきます。その際には適切な補修、メンテナンスをすれば問題はありません。
クラックの心配はタイル貼りでも同様です。
外壁材を選定していくにあたり、外壁全てを同じ仕上で施工することが多いですが、例えば道路側やアプローチ側などよく見える部分にアクセントとしてタイルを使ったり、ガルバリウム鋼板を使ったり、不燃木材を使ったりして、あまり目に付かない部分は化粧サイディングで仕上げるなど変化を付けて、トータルコストも考えながら決めていきましょう。
断熱材の話し
断熱工法には内断熱と外断熱とがあります。
内断熱は建物の構造体の中(柱と柱の間など)に充填していく工法で、外断熱は建物を屋根から基礎まですっぽりと断熱材で覆う工法です。
それぞれにメリット、デメリットはあります。
内断熱の特徴
1.使える断熱材の種類が豊富でコストパフォーマンスに優れている
2.床下の換気が取りやすい
3.断熱材が柱や梁などで途切れる・・・木は断熱性能を持っています
4.壁内結露の可能性が有り・・・室外側の通気層の施工をすることで処置します
5.外壁、屋根の施工が容易
外断熱の特徴
1.使える断熱材が限られコスト的に割高
2.基礎が断熱材で覆われているため床下の換気に注意・・・床下に強制換気で対応
3.建物全体を外から覆うため断熱材の途切れる部分が少ない
4.外壁のすぐ裏に断熱材があり気密性が高いため壁内結露が生じにくい
5.外壁材や屋根材を断熱材に留めるため施工方法に注意が必要
断熱材にも種類があります。
大きく分けて繊維系と発泡系とがあります。
繊維系で一般的によく使われるのが無機質系のグラスウールとロックウールです。耐火性、耐久性、防音性があり、使い勝手が良く、安価であることからよく使われます。ただしグラスウールは水分を含んでしまうと性能が低下してしまうため、防湿に対する処置が充分に必要です。
繊維系の中で木質系と呼ばれるセルロスファイバーがあります。無機質系のものよりコストアップになりますが、セルロースファイバーには湿気を吸収し放出しますので、壁内結露の防止にも役立ちます。
最近はペットボトルをリサイクルしたポリエステル系のものや、羊毛を使ったウール系のものもあります。
発泡系の断熱材はポリエチレンフォームやウレタンフォーム等の断熱材でボード状になっているものが多く、床下の断熱や外断熱によく使われます。
断熱材を選定するにあたり、どれだけ単体での性能が良くてもきちんとした施工がなされていなければ本来持っている性能を充分に発揮することができません。
大切なのは必要な箇所に適切な材料で、的確な施工をすることです。断熱材だけでなく換気や空調も併せて考慮することが大切です。
内装材の話し
その住まいで暮らしていく中で、目に触れ、直接手足に触れる内装。
床、壁、天井の仕上材ですが、内装仕上材にも色々あります。
床でいうと、フローリング、クッションフロア、カーペット、畳、タイルなど・・・
壁、天井でいうと、クロス、塗り材、化粧合板、羽目板など・・・
昨今、自然素材や健康住宅などがもてはやされる傾向があり、無垢フローリングや自然素材の塗り壁などを使うことが多くなってきています。
無垢フローリングは肌触りや質感は確かにいいですね。
自然素材の塗り壁には脱臭効果や湿度調整の機能があり、シックハウス対策の効果もあるとうたっている商品があります。
いい面ばかりクローズアップされますが、デメリットも伝えるべきと思います。
例えば無垢フローリングは無垢材であることから気温、湿度によって反り、むくりが出ます。無垢フローリングでもそういった不具合の出ないように薬剤注入などで処理したものがあります。
塗り壁は仕上がったときは綺麗ですが、経年劣化でクラックが入ってきます。そうならないように添加剤が混ざっています・・・。
・・・?
でも、それって本当の自然素材と言えますか?自然素材を主材とした工業製品だと思います。
最近はエコが重視され、環境に優しい、地球に優しいとうたった商品が好まれる傾向があります。
それらの素材を使うことで環境に配慮しているという思いもわかります。そういった思いを否定するつもりは全くありません。
人が生活していく以上、環境には必ず何らかの負荷を与えています。
本当に環境に配慮することを考えるのであれば、そういった素材を使用することだけで完結するのではなく、もっと深く、環境に与える負荷をできるだけ小さく押さえていく方向で考えていくべきなのではと思います。エコがエゴにならないようにしなければと思います。
例えば、従来のフローリングでも限りある資材を効率よく、無駄なく製品化されていることを考えれば環境負荷を押さえているとも言えます。
クロスでも和紙を使った物や、防汚、脱臭機能を持った機能的な壁紙があり、そのクロスを貼る接着剤も昔のような鼻をつく臭いもないシックハウス対策がされています。(今、販売されている建材はシックハウスの原因となるホルムアルデヒドの発散量を小さくするように法律で規制されています)
内装材を選定していくにあたり、自然素材重視で決めていくとコスト的に高額になっていきます。
トータルコストを考慮し、部屋毎に、使い方や機能面も考えて検討していくことが必要です。
あと、考えておかなければいけないことは、住まいが完成したときは綺麗です。しかしその状態がいつまでも続くものではありません。メンテナンスのことも考えましょう。
例えば、壁クロスなどは貼り替えが容易です。はがしたあとのクロスを焼却しても有害なガスなどが出ないように考えられています。環境負荷を押さえているとも言えませんか・・・
設備の話し
住宅建築において設備にかける初期費用は、ざっくりで250万から350万程度かかります。
通常、必要な設備として、キッチン、ユニットバス、洗面化粧台、トイレ、給湯器などでしょうか。
最近はエコや省エネの観点から太陽光発電、エコキュート、エネファームなどや、3階建てになればホームエレベーター、また空調設備でエアコンや床暖房など、設備にかける費用が増えてきています。
設備は様々なメーカーが常に研究・開発を続けていますので、次々に新しい商品が出てきます。設備選定の際には色々なメーカーのショールームを利用して実物を確認していきましょう。各メーカーの担当者が色々とアドバイスをしてくれます。でも大抵はは良いことしかしか言いませんので、こちらも充分に研究してこちらなりのアドバイスもしっかりいたします。
だからといって、あまり多機能なもの、最新のものばかり選ぶのもお勧めしません。あまり必要のない機能がついていても価格が高くなるばかりですから。
そして、設備の寿命は10年からもって15年ぐらいでしょう。メーカー保証も大体が1年ぐらいです。寿命がきたら設備は更新が必要になります。多機能なものほど寿命が短くなるものです。そう考えればあまりお金をかけすぎてももったいないだけですよね。
特にキッチンにはこだわりたい・・・などの想いのある部分があればそこにお金をかけて、上手に決めていきましょう。
最近、特に気になっている設備に、太陽光発電、エネファーム、ハイブリッド給湯器などの省エネ設備があります。
昨今の節電指向に対し、今後、今まで以上のスピードで様々な商品が発表されていくことでしょう。また、補助金などの政策もあります。
現在、情報収集中につき、近々紹介できればと思っています。
・・・あとがき
家を建てるのは一生でそう何度も経験できることではありません。
新しい住まいを創っていく楽しみもある反面、よくわからないこともあり不安も少なからずあるものと思います。
楽しみを増やし、不安を無くすお手伝いができればと想っています。
せっかく創った住まいです・・・。
一代で建て替え・・なんてことにならずに、
必要なメンテナンスなどを適度にしながら、つぎの世代にも引き継いでいける・・・
そんな住まいを一緒に創っていきましょう。